青森生まれの香りシリーズ第二弾は
『ジャパニーズローズウォーター』のおはなしです。
ジャパニーズローズと聞いて、どんなお花が思い浮かびますか?
県内では身近な存在のあの植物ハマナスは、
バラの先祖でもあることから海外ではそう呼ばれています。
なんと今年の夏、
県産ハマナスの芳香蒸留水が商品化!という嬉しいニュースが飛び込んできました。
その名も『ジャパニーズローズウォーター』。
そこで、企画から製造販売を手掛けている
plants planetの境佳子さんにお話を伺ってみました。
「植物の『!』をみつけよう」をテーマに様々な活動を行っている境さん。
ハマナスに興味をもつきっかけとなったのは、
青森に移り住んで間もなくハマナスを使った香水に出逢ったこと。
その後、様々な人との交流を通じ、植樹活動や海岸の清掃に参加する中で、
県内で元気に育っているハマナスが
何の活用もされずに散っていくだけという状況を知ることとなります。
そんな折、ハマナスから香りを抽出する
新しい技術が開発されたことも知った境さんは、
森と海岸と人々をつなぐ『ジャパニーズローズ・プロジェクト』を開始。
クラウドファンディングで資金を調達し、
ただ散ってしまっている花びらを活用して蒸留水の試作をしました。
第1回目の蒸留の香りを試した際には、期待に胸躍らす一方で、
その控え目な香りに商品化が可能なレベルなのか
不安な気持ちにもなってしまったという境さん。
『あおもりアロマ研究会』のみなさんにも試香してもらいご意見を伺ってみたところ、
そのままでも充分に香りがしているということが分かり一安心。
さらに、より好いものにするため香りの調整をすることに。
↓こちらから蒸留の様子が動画でご覧いただけます
摘んだ花弁は数回に分けて蒸留するため、そのたびに香りが少しずつ違うとのこと。
それらを組み合わせることで十数パターンのブレンドを作り、
試香をして決めていきます。
「これがいい!」と感じた「甘すぎず、ハマナスらしい香り」の試作品は
資金提供者らに好評でした。
それから約1年後の今年6月、むつ市での「花摘み体験会」を企画。
これには
「地元のものを地元の人がもっと楽しむべきだと思うし、
地元以外の方にも、これをきっかけに地域を楽しんでほしい。
そして、地域の内と外の交流を増やしていきたい。」
という想いが込められています。
県内外から集まった参加者により摘まれた花弁の収量約4kgからは
約35Lの蒸留水が完成。
満を持して8月にはインターネットでの販売が開始となりました。
「この製品も試作品のときを参考にブレンドしていますが、
やはり全く同じではありません。来年はまた違った香りになるはず」とのこと。
そこがまた、天然の植物由来の製品の魅力でもあります。
ハマナスを使った製品を作る上で、
より多くの花弁が必要となる精油ではなく芳香蒸留水を選んだのは、
森や自然を守りながら地域の人々も共に豊かになっていくことを願ってのこと。
製品名にハマナスではなくジャパニーズローズという言葉を使った事にも
たくさんの想いが込められていて、主な理由は4つ。
ひとつめは、ハマナスが生活の中にある地元の方にも、
いい意味で新鮮に受け取ってほしいということ。
ふたつめは、シーボルトがハマナスを持ち帰り
ジャパニーズローズとして世界に広めたというエピソードから。
今度は香りで、ハマナスを世界に広げていけたらという願いを込めて。
みっつめは、海外ではジャパニーズローズはとてもメジャーで、
海外の方にもすぐにわかってもらえる名前だから。
そしてよっつめ、日本全国のハマナスを知らない方にとっても、
手に取りやすいと考えたから。
ジャパニーズのローズ(日本のバラ)なんだなってすぐに分かるし、
なんだかおしゃれなイメージもあるから。
今後については
「まず花摘みのイベントをもう一度開催したい。
青森だけでなく、全国各地のハマナスの産地で、こうした取り組みが行われたり、
地域同士の交流も生まれたら素敵ですよね。」とのこと。
こうしてお話を伺ってみると
「少しだけ甘く、爽やかでほのかな香り」のジャパニーズローズウォーターには、
単に植物からの香りのものを商品にして販売というだけでなく、
地域の文化、環境、交流など様々な想いがたくさん詰まっていました。
ここではお伝えしきれない『ジャパニーズローズウォーター』のこと、
plants planetさんの活動の様子は